猫を飼うためのペットローンをおすすめできない理由

猫を家族として迎える際、購入費用が高額になることから、ペットローンの利用を検討する方もいらっしゃるでしょう。しかし、ペットローンには慎重に考えるべきリスクが複数存在します。

安易な借入は、後々の生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。

ペットローンが抱える金銭的な負担

ペットローンは一見便利に見えますが、実際には家計に重い負担をもたらす可能性があります。金利や返済期間によって、最終的な支払総額は購入時の価格を大きく上回ることになります。

特に信販会社が提供するローンでは、金利設定が高めになっているケースも少なくありません。

金利による返済総額の増加

ペットローンの金利は提供元によって異なりますが、一般的に年4%から15%程度の範囲で設定されています。

たとえば30万円の猫を購入し、年利10%で3年間のローンを組んだ場合、総返済額は約35万円になり、利息だけで5万円もの追加負担が発生します。この金額は、猫の初期費用やワクチン代などに充てられるはずの大切な資金です。

借入金額 金利(年率) 返済期間 総返済額(概算) 利息負担額
30万円 10% 3年 約35万円 約5万円
30万円 15% 3年 約37万円 約7万円

遅延損害金のリスク

返済が遅れた場合、通常の金利とは別に遅延損害金が発生します。金融機関によっては年14%を超える高い利率が適用されることもあり、一度でも支払いが遅れると雪だるま式に債務が膨らむ危険性があります。

収入が不安定な時期や予期せぬ出費が重なった際に、この負担が家計を圧迫する要因となります。

猫の飼育にかかる継続的な費用

猫を迎えた後は、購入費用以外にも継続的な支出が必要になります。これらの費用を考慮せずにローンを組むと、返済と飼育費の両方で家計が苦しくなる事態に陥ります。猫の平均寿命は約15年であり、長期的な経済計画が不可欠です。

月々の飼育コスト

猫の日常的な飼育には、フード代トイレ砂、おもちゃなど様々な費用がかかります。月々の基本的な出費だけでも数千円から1万円程度は必要です。さらに年に一度のワクチン接種や健康診断の費用も加わります。

  • キャットフード:月3,000~8,000円
  • トイレ砂やペットシーツ:月1,000~3,000円
  • 年間のワクチン・健康診断:5,000~15,000円
  • おもちゃや消耗品:月1,000~3,000円

予期せぬ医療費の発生

猫には人間のような健康保険制度がありません。病気やケガをした場合、治療費は全額自己負担となります。手術が必要になれば数十万円、場合によっては100万円以上かかることもあります。

ペットローンの返済中にこうした高額医療費が発生すると、経済的に立ち行かなくなる恐れがあります。

審査通過の難しさと信用情報への影響

ペットローンは無担保ローンであるため、審査基準が厳しく設定されています。また、ローンを組むこと自体が信用情報に記録され、将来的な借入に影響を及ぼす可能性もあります。安定した収入がない場合や、他にローンを抱えている場合は審査に通らないことも珍しくありません。

審査で重視される項目

金融機関はローン審査において、申込者の返済能力を多角的に判断します。収入の安定性、勤続年数、他社からの借入状況、過去の返済履歴などが審査対象となります。

アルバイトやパートの場合、勤続年数が短いと審査に不利に働きやすい傾向があります。

  • 年収と収入の安定性
  • 勤務形態と勤続年数
  • 他社からの借入残高と件数
  • 過去のクレジットやローンの返済履歴
  • 信用情報機関に登録された延滞記録の有無

返済困難時のリスク

ペットローンの返済が滞った場合、電話や書面による督促が始まります。それでも支払いができない状態が続くと、最終的には法的措置が取られ、給与や預金が差し押さえられる可能性があります。猫を手放したとしても、ローンの債務は消えません。

困った際は、消費者庁の消費生活相談窓口などに相談することが大切です。

ローンを組まずに猫を迎える選択肢

ペットローンに頼らずとも、猫を家族に迎える方法は複数あります。購入費用を貯蓄してから迎える、保護猫の譲渡を検討するなど、経済的な負担を抑えながら猫との生活を始めることは十分に可能です。

急いで決断せず、じっくりと準備を整えることが、猫にとっても飼い主にとっても幸せな未来につながります。

保護猫という選択肢

保護団体や動物愛護センターから猫を譲り受ける方法では、購入費用がかからない、または最小限の費用で済むことが多くあります。ワクチン接種や去勢・避妊手術が済んでいる場合もあり、初期費用を大幅に抑えられます。

命を救うという社会的意義も大きく、経済面と倫理面の両方で優れた選択肢です。

計画的な貯蓄の重要性

猫を迎える前に、購入費用だけでなく飼育開始後の数か月分の費用も含めて貯蓄しておくことが理想的です。

緊急時の医療費に備えた予備資金があれば、突然の出費にも慌てずに対応できます。毎月一定額を積み立てることで、無理なく目標金額に到達できるでしょう。

準備項目 目安金額
猫の購入費(ペットショップの場合) 15~50万円
初期のペット用品(ケージ・トイレ・食器など) 2~5万円
初回のワクチン・健康診断 1~3万円
3か月分の飼育費用 2~3万円
緊急医療費の予備資金 10~20万円

猫を飼うという決断は、15年以上にわたる責任を伴います。ペットローンは目の前の資金不足を解消する手段に見えますが、長期的には家計を圧迫し、猫にも飼い主にも負担をかける結果となりかねません。

経済的に余裕を持って猫を迎えることが、互いに幸せな生活を送るための第一歩となります。