ラグドール
ラグドールは、1960年代にアメリカで誕生した大型の長毛種です。抱き上げると力を抜いてリラックスする姿から「ぬいぐるみ」という名前が付けられました。穏やかで人懐っこい性格と、サファイアブルーの瞳、美しい被毛が特徴的で、家庭猫として理想的な性質を持つことから、世界中で高い人気を誇っています。
ラグドールの歴史
ラグドールは、1960年代にアメリカ・カリフォルニア州で誕生した比較的新しい猫種です。ブリーダーのアン・ベイカーが、白い長毛猫のジョセフィンを基礎猫として、バーマンやペルシャなどと交配させて作り出しました。
この猫種の名前は「ぬいぐるみ」を意味する英語の「Ragdoll」に由来します。抱き上げると体の力を抜いて、まるでぬいぐるみのようにリラックスする特性から名付けられました。1965年に品種として確立され、その後アメリカの主要な猫血統登録団体に認定されました。
1980年代にはイギリスをはじめとするヨーロッパ諸国に紹介され、世界中に広まりました。現在では、その穏やかな性格と美しい外見から、世界中で高い人気を誇る猫種となっています。日本でも人気が高く、家庭で飼育される猫種の上位にランクインしています。
外見の特徴
ラグドールは、猫の中でも特に大型の品種で、成猫になるまでに3~4年かかる晩成型です。がっしりとした骨格と筋肉質な体つきを持ち、長く美しい被毛に覆われています。
- 体重:オス 6~9kg、メス 4.5~7kg
- 被毛:長毛でシルキーな手触り。セミロングからロングで、首周りにラフ(襟巻き状の飾り毛)があり、下毛が少ないため絡まりにくい
- 毛色:ポイントカラーが基本で、シール、ブルー、チョコレート、ライラック、レッド、クリームなどがある。パターンはカラーポイント、ミテッド、バイカラーの3種類
- 目の色:青色(サファイアブルー)が特徴で、鮮やかで深いブルーが望ましいとされる
顔は中くらいの大きさで、くさび形をしています。耳は中型で先端が丸く、やや前傾しています。四肢は中程度の長さで、後ろ足がやや前足より長いのが特徴です。尾は長く、ふさふさとした飾り毛で覆われています。
性格と気質
ラグドールは、その名前の通り非常に穏やかでおとなしい性格が最大の特徴です。人懐っこく、飼い主に対して深い愛情を示し、まるで犬のように後をついて回ることもあります。
抱っこされることを好み、体の力を抜いてリラックスする姿は、この猫種特有の愛らしい特性です。攻撃性が低く、鳴き声も小さくて控えめなため、集合住宅での飼育にも適しています。
知的で学習能力が高く、名前を呼ばれると反応したり、簡単な指示を理解することもできます。子供や他のペットとも友好的に接することができ、家族全員と良好な関係を築けます。
遊ぶことも好きですが、激しい運動よりも飼い主の側でのんびり過ごすことを好む傾向があります。単独での留守番はストレスになることがあるため、長時間の外出が多い家庭では、複数飼育を検討すると良いでしょう。
飼育上のポイント
ラグドールの飼育では、美しい被毛のケアが重要です。長毛種ですが絡まりにくい毛質のため、週に2~3回のブラッシングで十分です。ただし、換毛期には毎日のブラッシングが推奨されます。定期的なブラッシングは、毛玉の予防だけでなく、スキンシップの時間としても大切です。
大型の猫種であるため、十分な栄養摂取が必要ですが、おとなしい性格のため運動不足になりやすく、肥満に注意が必要です。成長期には高品質な子猫用フードを与え、成猫になったら適切な量を守って給餌しましょう。
キャットタワーや遊び道具を用意し、適度な運動を促すことが大切です。ただし、高い場所から飛び降りる際に体の力が抜けてしまう特性があるため、怪我をしないよう環境を整える配慮が必要です。
穏やかな性格のため、完全室内飼育が推奨されます。外の危険から身を守る本能が弱い傾向があるため、脱走防止対策をしっかり行いましょう。
健康管理
ラグドールは比較的健康な猫種ですが、いくつかの遺伝的疾患に注意が必要です。肥大型心筋症は、この猫種で発症リスクがある心臓疾患で、定期的な健康診断による早期発見が重要です。
多発性嚢胞腎も注意すべき遺伝性疾患のひとつです。信頼できるブリーダーから、遺伝的検査を受けた健康な個体を入手することが推奨されます。
大型猫種特有の問題として、股関節形成不全のリスクもあります。適正体重の維持と適度な運動により、関節への負担を軽減することができます。
尿路結石や膀胱炎などの泌尿器系疾患にも注意が必要です。新鮮な水をいつでも飲めるようにし、トイレを清潔に保つことで予防につながります。
年に1回以上の健康診断を受け、ワクチン接種や寄生虫予防を適切に行いましょう。歯周病予防のための定期的な歯磨きも大切です。
ラグドールは、その美しい外見と穏やかな性格から、理想的な家庭猫として世界中で愛されています。人懐っこく抱っこを好む性質は、猫との濃密なふれあいを求める飼い主にとって大きな魅力です。